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リフォームか新築か

新築かリフォームかで悩むお客様が多い

 

 

「新築するかリフォームするかで迷っている」、という相談件数が実に多いですね

ほとんどの建物は昭和56年6月1日前に建築された建物つまり古い耐震性のない家となります。

当然現地に行って、耐震の状況と劣化状況を確認するわけですが、35年以上経過した建物は、屋根・外壁・天井・壁が劣化し、断熱材は入っていない、床がきしみ、柱も床も傾いているようなものがほとんどです。

最低限の構造補強を施工し、屋根・外壁・防水のやり直し、新規断熱材の封入、サッシの入れ替えなどを概算で見積もっても、2階建て30坪程度で、約200万円~600万円程度は必要となります。そこに間取り等の変更、床、壁、天井の解体復旧、水回りなどの機器交換に伴う工事などが加わり、完全なフルリフォームになると、1800万円は下りません。坪単価にすれば、60万円/坪に近くまで行ってしまいます。

 新築工事では、今の時代建築本体工事と外部付帯工事を合わせても、工務店で50万円~60万円/坪、ローコストビルダーにいたっては、40万円~50万円/坪で建ってしまいます。

2階建て30坪という同程度の新築工事ですと、建築工事で1600万円、解体費用、諸費用を入れても2000万円以内で新築の建物が手に入ります。当然ですが税別です・・・

当然、顧客の年齢、資金、、家を承継する家族が存在するのか、生活スタイルや生涯設計を家族で十分に検討し、トータル的にに判断するわけですが、リフォームが割高であることは間違いありません。

 

保険・保証面ではどうなのか?

  

 

 新築住宅は、平成19年に施行された「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」により、施工者(請負業者)に保険をかけることが義務付けられました。

構造・防水の瑕疵に関して、施工者(請負業者)に倒産と言うことがおきたとしても、10年間、瑕疵担保責任法人が工事に要した費用を保険金として負担してくれます。

そうしたことから、工事中の検査も当然行うことになります。新築工事には、設計確認申請、工事が完了した後の検査と検査済証の交付がすでに義務付けられており、

瑕疵保険の義務化と合わせて二重のチェックとなり、安全で安心な仕組みとなります。

一方、リフォーム工事ですが現在のところ行政の審査は義務付けられていません。

増改築リフォームや構造変更などは確認申請が必要ですが、現状の変更は、何も義務付けられていない。お役所のお墨付きもないのだから、保険もないのが実状ですね。
最近では、ようやくリフォーム瑕疵保険という制度もでき始めてきましたが、任意なので強制力もなく、普及してはいないのが現状です。

 

新築との差が出るリフォームローン

リフォーム工事が普及されない要因の一つは、リフォームローンという金融商品の整備が遅れていることが原因でしょう。
都市銀行(三菱東京UFJ銀行)を例にとれば、融資額は通常500万円まで(場合によっては最大1000万円)、
期間は10年、金利は3.475%だ。新築住宅の場合のフラット35と比較してみると、リフォームが不利なのは、下記の表を見れば明らかですね。

リフォーム工事というのは、突き詰めて見れば、修繕・模様替えをさします。

よって、ローンも約500万円以下が基本となりますので、昨今のような、家全体のリフォーム工事などの考え方には対応できていません。

無理矢理ににローンを組んだとしても、高い金利に、短い返済期間、などで月々の負担額が大きくなってしまうからです。

新築かリフォームかで悩む顧客は、必ずこの問題にぶつかります。
したがって、場合によっては、構造が不安でも自己資金の少ない人は、構造補強にお金を使わず、
水周りなどの快適さを選択せざるを得ないし、若い人は、新築を迷わず選択するのが多いですね。

【前述の例で比較】

<リフォームした場合 1500万円>   <新築した場合 2000万円>
 リフォームローン  :1000万円   住宅ローン(フラット35):1500万円
  融資期間      :10年  融資期間          :35年
 金利        :3.475%   金利            :1.80%
  月々返済額     :98,768円  月々返済額        :48,163円

※リフォームローンの金利は、短期プライム連動長期貸出金利を基準とする変動利率となるが、簡易的に通常のリフォームローンの店頭金利を適用。フラット35の金利は、金利優遇を考慮せず。

 

実需としてのリフォーム市場をどう考えるか

 

国土交通省では、中古住宅・リフォームトータルプランとして今後の目指すべき方向性をまとめていま
平成20年時点で約5760万戸ある既存住宅の流通をどう活性化させるかに主眼が置かれ、その中にリフォーム市場が組み込まれています。

確かに家余りの問題や、ともなう中古住宅の流通の活性化は大切な問題だが、少し違和感を覚えざるを得ません。
中古住宅をリフォームして商品化し流通させることと、住まいとしてのリフォーム市場は別だからです。

リフォーム市場として、まだかなり存在する多額の費用を要する旧耐震の建物をどうするのか、
資金のでない家庭をどう支援していくのかなども考慮する必要があります。
リフォームは、限られた予算の中で、今生活している家を、今後も安全に快適に住むためにはどうすればいいのかという単純な実需。
住む人は、その後の流通化までは考えていない様です。

リフォームという選択肢を充足させるためには、行政の積極的な関与と新築以上の補助金・優遇税制の支援、
そして一刻も早いリフォームローンの整備が望まれます。

 

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